高麗博物館企画展 「植民地主義 2025」 

2025年企画展

植民地主義 2025 
ミュージアムで考える 「わたしたち」の応答可能性

2025年10月8日~2026年3月29日

「植民地主義」と聞くと、どこか遠い話のように感じるかもしれません。しかし、人権やジェンダー、格差など、2025年を生きるわたしたちの社会にある違和感や生きづらさはその過去と無関係ではありません。けれど、「加害の歴史」の話になるとどこか語りにくさを感じたり、無意識に距離を取ってしまうことがあるかもしれません。それはどうしてでしょうか?

本企画展では、人生の物語や人の移動、ことばと教育、Kカルチャーなどさまざまな入口から、2025年を生きる「わたし」と植民地主義の歴史とのつながりを見つめていきます。

展示室には、来館者の皆さんと対話できるようにカフェコーナーもご用意ます。

小さなミュージアムで一緒に対話しませんか?

 

【展示】
今回の企画展では、「植民地主義」というメインテーマのもとに、大学生も含めた様々な年代のメンバーが5つのチームに分かれて準備しています。

 

  • マルモイチーム
    植民地支配の中で、日本語の強制や名前の改変、文化が失われた歴史と、解放後にそれらを取り戻してきた歩みをたどりながら、「ことばとともに生きる」ことの意味を見つめ直します。
  • 現代社会とカルチャーチーム
    韓国の作家やアーティストたちは、自身の経験や記憶、そして社会への問いを、作品に込めて発信してきました。「植民地主義」と聞くと、どこか難しさや距離を感じる人も、文学や映画、ドラマなど、カルチャーを通してなら、その歴史や「いま」をより身近に感じられるかもしれません。
  • 親日派チーム
    朝鮮半島では、植民地期に国と民族を裏切った人を親日派と言います。韓国における親日派とは一体なんなのか。親日派を糾弾するのではなく、親日派の誕生と形成の背景にいた大日本帝国に着目し、現在日本に暮らす私たちはどのようにこの問題に向き合うべきなのかを、韓国の親日派清算の動きから考えます。
  • 1910年以前のソウルチーム
     『京城発達史』(編集・発行:京城居留民団役所、1912年)という、日本人が最初にソウルに入ってから韓国併合までの過程を記した本を分析しているところです。それを地図に落とし込んで視覚的にわかりやすくしようと試みています。
  • ライフヒストリーチーム
    植民地主義を具体的に考えるために、特定の人物を取り上げようと考えてます。メンバーの関心がいちばん高いのが金子文子です。金子文子は、植民地支配の中で朝鮮人の人権について敏感に反応していたんじゃないか。他に5人のライフヒストリーを紹介します。

 

講演会・ギャラリートーク】
(時間は予定です。変更・追加については随時ホームページでお知らせします。)

■講演会
10月18日(土)15:00~17:00
「植民地主義について―思想と歴史そして現在」
講師:高橋哲哉さん(哲学者・東京大学名誉教授)
申し込み等、詳細ページはこちらから⇒クリック

11月1日(土)14:00~16:00
韓国映画に見る「植民地」イメージの変遷
講師:崔盛旭さん
申し込み等、詳細ページはこちらから⇒クリック

■ギャラリートーク いずれも14:00~15:30(予定)
ギャラリートークは、その時間に来館されている方たちに参加していただく会です。各チームメンバーが、この企画展への想いや内容についてお話します。

11月8日(土)
ことば、 名前、文化~奪われたアイディンティティを取り戻すために~
日本語強要や創氏改名をはじめとする皇民化政策と、奪われたエスニック・アイディンティティを取り戻す試みとしての朝鮮学校について

12月13日(土)
現代社会とカルチャー
K-POPと徴兵制、Kカルチャー(映画や本)についてお話しします。

2026年1月17日(土)
1910年以前のソウル
韓国併合以前から、たくさんの日本人が朝鮮半島に渡っていました。併合時のソウル(漢城・京城)では、その数は3万人に達しています。この人たちは、どこに居住地を定め、生活空間を作り上げていったのか、当時の資料をもとに考えます。

■イベント
10月24日(金)18:30~20:30
演劇と対話の時間
ドラマリーディング「推しと植民地」
«推し»がでる韓国映画に友だちを誘って断られた高子。文炳蘭の詩「植民地の国語の時間」と出会い、植民地時代の朝鮮半島について考え始めます。
朗読を鑑賞したあと、みなさんと話し合いたいと思います。

構成:有吉朝子(劇団劇作家)
演出:EMMA
協力:劇団劇作家
申し込み等、詳細ページはこちらから⇒クリック

2026年1月24日(土)14:00~
映像で知ろう親日派
ギャラリートーク形式で、親日派チームメンバーがいくつかの親日派関係映画、映像を紹介していきます。参加者の皆さんもフリートークしませんか。